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日本郵政公社の個人向け国債の販売額が今年に入り、計画を下回っている。4月発行分は初めて2種類ある個人国債のいずれも計画に届かず、販売額は計画の約6割にとどまった。郵政公社が今年秋の民営化を控え、国債よりも手数料収入が高い投資信託の販売に力を入れていることが背景にある。国債を販売してほしい財務省には不満がたまりつつある。
「客に個人国債を自ら勧めることはありません。投資信託を売るのが先決だから」

 中部地方の郵便局の営業担当職員は、こう漏らす。職員の「投信の販売目標」は月約1000万円。郵政公社は「ノルマではない」としているが、職員は「上司からは、達成しないとクビだと言われている」。

 郵政公社は各郵便局の投信販売を競わせるためにランキングを作っている。投信の販売実績は職員の手当にも影響する一方で、個人国債は評価の対象外で「職場でほとんど話題にもならない」という。

 職員は客に対し、元本割れのリスクがあることを丁寧に説明しているつもりだ。しかし「客が完全には理解していないと思いつつ、ノルマを達成するために投信を売ることがある」と告白する。

 公社の内部資料には、投信と個人国債の手数料収入の比較が掲載されている。10万円分を販売した場合、10年間の手数料収入は個人国債の604円に対し、投信は6500円と約10倍だ。

 郵政公社の06年度の投信販売額は5955億円と個人国債の約3分の2だが、手数料収入では投信が大幅に上回る。低金利が続き郵便貯金の残高が減り続けているだけに、投信販売にかける期待は大きい。

 一方、郵便局での個人国債の販売計画は郵政公社と財務省が相談して決め、3カ月ごとに売り出される。4月発行の個人国債の販売実績は1953億円で、計画の3100億円を大幅に下回った。個人国債は2種類あり、変動金利型(満期10年)が642億円、固定金利型(満期5年)が1311億円売れた。

 財務省は機関投資家だけでなく個人にも国債を買ってもらうことで国債市場を安定させようと、03年に個人国債を導入した。当初は、郵便局では行列ができ、販売開始当日に売り切れになるところが続出するほどの人気だった。しかし、05年秋から郵便局の店頭で投信の販売が始まり、1年後に取り扱い局が倍増すると、個人国債の販売額は落ち込んでいく。今年1月には初めて、計画を下回った。

 財務省にとって、郵政公社は個人国債の販売の主力ルートで、民間金融機関を含めた全体の販売計画の十数%を占めるだけに、郵便局販売の「不振」は痛い。

 郵政公社は「お客様のニーズに合わせて、投信も個人国債も等距離で扱っている」(幹部)と強調する。しかし、財務省関係者は「郵政公社に個人国債を売ろうという意欲が感じられない」と話す。財務省には「郵便局に国債を買いに行ったのに、投信を勧められた」といった苦情も寄せられている。

 楽天証券経済研究所の山崎元・客員研究員は「短期金利が上昇しているため、以前よりも個人国債の相対的な魅力が低下しているのは事実だが、郵便局がより手数料の高い投信に顧客を誘導しているとすれば問題だろう」と話している。

【朝日新聞より】


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